25 歳以上の日本人の8 割が、歯周病の状態です。 驚きますよね?厚生労働省の平成11 年の調査結果を見ると、45 歳から54 歳では88%の人が、歯ぐきの出血や歯石の沈着、そして歯周ポケットがあるなど、歯肉に何らかの問題を抱えていることが分かりました。 歯周病とは、細菌が原因で引き起こされた炎症によって、歯を支える骨を失っていく病気です。歯を建物に例えると、地盤がゆるんでくるような感じです。病状が進行すれば、歯を建物に例えていうと、倒壊します(歯が抜けてしまいます)。
歯周病がやっかいなのは、次の2点です。
1.自覚症状の乏しい病気なので、早期発見が重要!
サイレントキラーと呼ばれる高血圧や肝炎と同じ様に、ほとんど自覚症状がないまま進行することです。歯がグラグラするなどの異常に気づいたときには、重症化していることが多いのです。自分では気づかないうちに進行している事がほとんどなので、少しでも気になることがあったら、早めに歯科医院を受診するようお勧めします。
2.一度歯周病になると完治は難しいので、メンテナンスが重要!
糖尿病と同じように、一度病気になってしまうと、完治は難しくなります。そこで、進行を抑えるために、定期的なメンテナンスが重要になります。
- 朝起きると、口の中がネバネバしている
- 口臭が強い、または強くなった気がする
- 歯ぐきがはれている
- 歯みがきをすると出血する
- 最近、歯が伸びた気がする
- 歯がぐらついている
このような症状は、すべて歯周病による代表的な症状です。気になる方は、なるべく早めに歯科医院に行かれることをお勧めします。
- 健康な歯肉
- 健康な歯肉は、歯根をしっかり包んで外からは歯根は見えません。歯肉のピンク色の一番外側の粘膜と歯はわずかに溝(歯肉溝・0.5~2mm)があります。歯肉は、線維によって軽く歯にくっついています。
- 歯肉炎
- 炎症がおこり、赤く腫れています。出血しやすい状態です。付着線維の圧力がなくなり、歯と歯肉に隙間(3~5mm)ができます。これを歯周ポケットといいます
- 軽度歯周炎
- 歯周ポケットの溝は深くなり(4~5mm)、骨と歯を結ぶコラーゲン線維が壊れます。盲のうという膿の袋ができ、骨が溶け始めます。
- 中度歯周炎
- 盲のうから膿が出てきます。たくさん膿が出ると口臭がします。歯根が露出してきて(歯周ポケット5~7mm)歯石やプラークが付着してきます。
- 重度歯周炎
- 歯茎全体がぶよぶよに腫れて歯がぐらぐらしています。最後には痛みもなく歯が抜けてしまいます。(歯周ポケット7mm以上)。
歯茎の痛み、腫れなどの急性症状に対処します。
いったん痛みや腫れがひいた後、歯肉の状態を詳しく調べます。歯周病の進行には個々の患者さんの先天的な要素も歯周病の原因の多くを占めており、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病の成り立ちと似ています。それゆえ患者さんのタイプを判定することが重要になります。全体のレントゲン検査やお口の中の写真撮影も含まれます。
精密検査の結果をもとに、綿密な治療計画が立てられます。また患者さんに治療計画の説明が行われます。
歯周病治療の基本となるもので、ブラッシングの改善、歯垢・歯石除去(ディブライドメント)などが行われます。簡単な虫歯の治療や、仮ブリッジ、仮義歯の作製も必要に応じて行われます。
歯周病の進んだ部位には、通常は歯周外科手術が行われますが、当院ではできるだけ手術を行わずに、内科的治療法で回復させていきます。
冠をかぶせたり、ブリッジ、義歯が作製されます。(必要な方のみ)
せっかく良くなった歯茎を長持ちさせるため、患者さんの症状に合わせて1~6ヶ月ごとの定期検診とディブライドメントを受けましょう。
歯周病が重症化していくと、一般的には歯周外科手術が必要になってきます。この手術は、歯ぐきを外科的に切除して除菌していくのですが、どうしても患者さんに負担がかかってしまいます。そこで当院では、薬など内科的治療法を用いて、細菌をコントロールしますので、患者さんの負担が少ない治療といえます。
歯周病が進行してくると、歯肉の下の歯石を取っていく必要があります。そのときに、一般的にはスケーリング・ルートプレーニングを行います。しかし、この施術をすると、知覚過敏を起こしてしまう危険性が高くなります。そこで、当院ではディブライドメント(歯肉内の細菌や毒素を除去する)治療を行っているため、知覚過敏を起こしません。
患者さんの症状や状態に合わせて、メンテナンスの期間を設定しています。
また、メンテナンスの内容についても、患者さんの歯みがきの癖や歯ブラシの届かない場所は異なりますので、患者さんに合わせて行っています。
特に重症な患者さんに対しては、歯ぐきのマッサージをすることによって、歯ぐきの血流促進を促し、回復を早めます。
歯周病専用ジェル「ペリオバスター」は、他の歯みがき粉と比べて、化学成分を一切使用しない100%天然成分でできた、とても優れた歯周病専用ジェルです。
しかし、国際歯周内科学研究会の会員でなければ取り扱うことができませんが、院長が会員のため、当院では取り扱うことができます。
- Q.他の歯科医院で、歯ぐきをめくる手術が必要と言われました。手術までにするとは思っておらず、できるだけ痛いことは避けたいのですが、どうしても手術は必要でしょうか?
- A.まずは、歯周内科的治療を、お勧めします。どうしても手術が必要なケースもありますが、歯周内科的治療の後であれば軽い手術に切り替えることができ痛み軽減につながります。
- Q.歯周病を改善する処置(スケーリングやルートプレーニング)を受けたら、歯がしみて前より悪くなったような気がします。大丈夫なのでしょうか?
- A.心配いりません。歯垢歯石が不着していた歯面が一時的に過敏になっているだけで、丁寧な歯みがきによって除々に改善されています。
- Q.スケーリングを受けたら、歯肉が少し痛みます?なぜですか?
- A.スケーリングが必要な歯肉は腫れているためで、炎症が改善するに従い痛みは治ります。10分くらいを目安に丁寧にブラッシングを続けて下さい。
- Q.歯周病は保険で治療できますか?
- A.できます。当院では、歯をなるべく削らない 抜かない をモットーにしています。取りわけ抜歯を減らすためには歯周病治療が重要と考えていますので力を入れています。
- Q.歯周病の治療はどのくらい期間がかかりますか?
- A.歯周病の重症度によります。概ね週1回の治療ペースで軽症であれば2〜3回、中症であれば4〜6回、重症であれば8〜10回で安定した状態になります。但し、歯周病では、その安定した状態をいかに維持するかが重要になります。そのためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
- Q.歯がグラグラしています。もう抜歯するしかないでしょうか?
- A.歯のグラグラが自覚できる場合は残念ながら歯周病重症の事が多いです。 グラグラが治療によって完全に止まることは難しいと思われます。ですが、当院ではなるべく歯を抜かないをモットーにしていますので、患者様から抜歯の希望がなければ歯の延命に全力を尽します。